

築三年の戸建木造住宅の床下に「ナミダタケ」という茸が生えて材木が腐食し、床が抜け落 ちたのだ。この問題は道議会で取り上げられ、寒研の研究者から助言を受けた担当部長が「茸 の発生は、床に断熱材を入れたこととは関係ない。茸は山小屋で生えるものと同じで、省エネ とは無関係」と言い切ってしまった。 「なにをバカなことを言って」と江本は腹が立った。 道議会での答弁では市民、建築業者の不安が拭えず、道は改めて、説明会を催した。江本の 会社の社員が、それに参加した。説明会で寒研の研究者は部長答弁をなぞった。 「茸が生え、床が落ちたことと、床の断熱は無関係。床に断熱をすれば、床下には室温が伝 わらず、温度が低く保たれるので、茸は生えない」 社員が手を上げて、質問した。 「温度が下がるから茸が生えないというのは間違いです。外気も床下の空気も、水蒸気分圧 によって、水蒸気は同圧・同量だ。断熱で床下の温度が低いということは、床下の相対湿度が 高くなり、茸は高い湿度に反応して生えやすくなるのではないでしょうか?」 司会者も答弁者も沈黙し、説明会が打ち切られた。 そのやりとりを知ったNHKが、江本を取材にきた。 彼は、断熱材を床に張ったことで床下が高湿になり、茸が生える理由を詳しく説明し、「床 に断熱をするなら、床下を換気し、湿度を下げるために〃通気層″をつけなければならない」